2007/09/04

鈴木理策 熊野 雪 桜

「WHITE」と名づけられた鈴木理策の最新作を見た。

 白い雪景色がこれほどまでに表情が豊かで、かつ透明感を持っているとは。

 これは一体写真なのか。窓から見えるその白い世界は、まるで自分が見ているような錯覚さえ起こる。

 作家は、限りなく自己の存在を無にして、自分の「気配」を消し、その場の持つ何ものに対して、加えることも引くこともなく、ありのままを写した。
 研ぎ澄まされ、磨きぬかれたレンズとセンサーを持つもののみが行える行為だ。

 一瞬、自分の目で見ているような錯覚。しかしそれは、作家が与えてくれた透明な視点なのだ。それを知った途端に作家に対して「ありがとう」と言いたくなる。

鈴木理策 熊野 雪 桜

■会 期:9月1日(土)→10月21日(日)
■休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
■会 場:東京都写真美術館 2階展示室 MAP
■料 金:一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 500(400)円