2011/05/14

使用済み核燃料棒を冷却する

浜岡原発が止まった。何故浜岡が最初なのかという賛否はあるが、ともかく総理大臣の要請で原発が止められたという実績は評価すべきだと思う。

だが、「止まったから安全」ではないということは福島の4号機の例を見るまでもない。

原発の根本的な問題は核廃棄物処理である。「トイレのないマンション」と言われるらしいが、映画『100,000年後の安全』 http://bit.ly/manGIu に表現されているように、たとえ大深度の地下に廃棄物を貯蔵するとしても、「100,000年後までの安全」は保障されるわけではない。
私たちは原発による電気を利用するということで、未来に対してとんでもない遺産を残してしまったのだ。

こうした根本的な問題の解決(解決できない?)は兎も角、「核廃棄物」とするまでは「使用済み核燃料棒」を冷却しつづけなければいけない。
「使用済み核燃料棒」を安全に処理し、とりあえずリスクの低い場所に移動しなれば、福島の4号機と同等の問題がすぐにでも起こり得る。これが目下の課題のはずである。

地震の予測は難しいし、あてにならないいう人もいる。しかし、だからこそ今すぐ大地震が発生する可能性は否定できないし、発生した場合の影響を考えて対策しなければいけない。

原発は発生した熱量の3分の1しか発電に使わず、残りの熱量を「排熱」として捨てている。そしてその「排熱」を電気を使って冷却している。原子炉を止めて発電をしなくなった後でも、電気を使って燃料棒を冷却しなければならないのだ。
トラブルを起こし、既に発電をしていない「もんじゅ」も同様に今でも莫大なコストがかかり続けている。

そして、自ら発電しなくなった原発は、他のシステムに依存して電力供給を受ける側となる。このシステムが何らかの事故で故障して機能しなくなった場合、福島の4号機と同等の問題が発生する。

ゆえに、この冷却することによって安定させるというシステムこそ、効率を上げ、多重化する必要があるのではと思うのだ。

実は、3.11以前に排熱を利用した発電システムに興味を持ち、国内でもいくつかの取り組みがあることを知った。
元々、日本は省エネ技術には長けている。そして、こういった技術開発は継続的に行われてきたのだ。

スターリングエンジンやゼーベク素子を使ったものは既に製品化されている。

スターリングエンジンについてはこちらがわかりやすい。


複数工場間の低温排熱利用システム|環境への取り組み|AOCホールディングス http://bit.ly/mbIC1w



さらに、低温の排熱を利用するシステムもある。
ロータリー熱エンジンなどだ。技術・製品 - 株式会社ダ・ビンチ http://bit.ly/jpuafN


これらの製品は原発の安全性を高めたりする目的でつくられたものではない。
しかし、他のシステム系に依存しない、自律型の廃熱発電システムは、冷却を維持しなければならないような原発にとっては、非常に効果の大きいシステムと言えないだろうか。

もちろん、原発のような非効率で危険なシステムはなくなった方がよいし、排熱発電システムはそれにとって代わるものの一つだ。しかしながら、古い仕組みに退陣いただくまでは、何かがその世話をしなければならない。
そういう意味で後処理を手伝いながら、未来を創造できる仕組みこそが、今後力を入れて取り組むべきものだと思う。

「原発停止」というと、ネガティブな議論ばかりが行われている傾向があるが、実はそれだけではないということだ。